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第11章 ラーメン理論

11.1 ラーメンの定義と種類

 直線部材や曲線部材が節点において剛結され、
主として曲げモーメントによって外力に抵抗する骨組みをラーメンといいます。
そのため骨組みの形はトラス構造のように三角形の集合とする必要はありません。
 一般にラーメンは直線のはり(水平材)と
柱(鉛直材)を組み合わせた長方形状の形をしているものが多い。
なお、曲線状のはりや柱を組み合わせた構造は、アーチと呼ばれ、
ラーメンと区別するのが一般的です。

 各部材には、曲げモーメントのほかに軸方向力、せん断力が生じますが、
軸方向力による部材方向の長さの変化とせん断力による部材変形は、
曲げ変形に比較して非常に小さいので、実用上問題はありません。

 ある平面内に存在するラーメンを平面ラーメンと呼びます。
実際の構造物は、立体的な構造が多いが、
これらの多くは平面ラーメンの集合体に分けることができます。
ここでは、平面ラーメンの面内変形を取り扱います。

11.2 静定ラーメン

 つり合い条件式で反力や断面力を算定できるものを静定ラーメンといいます。
静定ラーメンの例をあげます。

11.3 不静定ラーメン

 ラーメンは一般に高次の不静定構造物となり、不静定次数nは次の式で求められます。
  n=r+k−3q
   r:支点の拘束度の総和(可動支点:1、回転支点:2、固定支点:3)
   k:節点の拘束度の総和(ヒンジ2、剛結3)
   q:部材総数


【解答】

  n=r+k−3q
   r:支点の拘束度の総和(可動支点:1、回転支点:2、固定支点:3)
   k:節点の拘束度の総和(ヒンジ2,剛結3)
   q:部材総数

  (1)n=r+k−3q
      =(2+1)+(3+3)−3×3
      =0

  (2)n=r+k−3q
      =(2+2)+(3+3)−3×3
      =1

  (3)n=r+k−3q
      =(3+3)+(3+3)−3×3
      =3

  (4)n=r+k−3q
      =(2+1)+(3+3+3+3)−3×4
      =3

  (5)n=r+k−3q
      =(2+2)+(2+2)−3×3
      =−1

  (6)n=r+k−3q
      =(2+2+2+2)+(3+3+3+3+3+3)−3×7
      =5

  (7)n=r+k−3q
      =(2+2)+(3+3+2+2)−3×4
      =2

  (8)n=r+k−3q
      =(2+2)+(3+2+3)−3×4
      =0

  (9)n=r+k−3q
      =(2+3+3+1)+(3+3+2+3+3)−3×6
      =5

11.4 静定ラーメンの解法

11.4.1 部材力の解析

図のような等分布荷重qが載荷されている門型ラーメンの部材力を求めます。

 柱部材ではラーメンの内側がはりの下側に相当します。
つまり、軸方向力図(N図)、せん断力図(S図)は、(−)は内側、(+)は外側に描き、
曲げモーメント図(M図)は引張側を内側(+)、圧縮側を外側(−)に描きます。

 断面力の計算は、求めようとする部材の外側が上部になるように
水平に置き換えて考えると分かりやすい。
ある断面の部材力を計算する際には、
その断面の一方の側にある外力(支点反力も含む)全てを考えることが大事です。

 例えば、図のような静定ラーメンのm−m断面の断面力を求める場合、
断面の左側にある外力全てを考えると、部材AB、BE間の外力全てが対象となります。
また、断面の右側を考えると、部材EC、CD間の外力全てが対象となります。
検討する断面の位置により適宜どちらの側かを選べばいい。

 図のようなラーメンにおいて、
 まず、支点反力を求めます。静的な力のつり合い条件は、
  ΣX=0:   HA  =0
  ΣY=0:   VA +VD−ql=0
  ΣMD=0:   VA l − ql2/2=0
          VA =VD=ql/2

1.軸方向力:N
 [求め方] ある断面の一方の側にある軸方向力の和
 [符号の約束]
  ある断面に対し、向かってくる力(圧縮力)は(−)、遠ざかる力(引張力)は(+)とする。

2.せん断力:S
 [求め方] ある断面の一方の側にある垂直力の和
 [符号の約束]
  左側から求める場合:上向き(+)、下向き(−)
  右側から求める場合:上向き(−)、下向き(+)

3.曲げモーメント:M
 [求め方] ある断面の一方の側のモーメントの和
 [符号の約束]
  左側から求める場合:時計回り(+)、反時計回り(−)
  右側から求める場合:時計回り(−)、反時計回り(+)

 支点反力が求まったので、次に部材ごとに断面力を求めます。

 (a)部材AB:
   支点Aから節点B方向に座標軸xをとり、断面の下側(支点A側)を考えると、
   この点の曲げモーメントMx、せん断力Sx、軸方向力Nxは、はりと同じようにして、
   Mx=HA・x=0
   Sx=HA=0
   Nx=−VA=−ql/2 ですから、
   部材ABには、曲げモーメントもせん断力も生じません。
   また、VA=ql/2であるから、軸方向力はN= −ql /2 となります。
   (−)記号は、圧縮力であることを示しています。
 (b)部材BC:
   節点Bから節点C方向に座標軸xをとり、断面の左側(節点B側)を考えると、
   点xでの曲げモーメントMx、せん断力Sx 、軸方向力Nxは、
   Mx=HAh+VAx(−qx)x/2=qlx/2−qxx/2=qx(l−x)/2
   Sx=VA−qx=q(l/2−x)
   Nx=HA=0
   したがって、Mxはx=l/2で最大値ql2/8をとります。
    ※ (dMx)/dx=ql/2−qx (dMx)/dx=0 より、x=l/2 のときMxは最大
   せん断力は、点B(x=0)では、ql/2、点C(x=l)では、−ql/2となります。
   軸方向力は0となります。
   曲げモーメント、せん断力は単純ばりに等分布荷重が作用する場合と同じです。
 (c)部材CD:
   節点Cから支点D方向に座標軸xをとり、断面の上側(節点C側)を考えると、
   点xでの曲げモーメントMx、せん断力Sx、軸方向力Nxは、
   Mx=HA(h−x)+VA−ql/2=ql2/2−ql2/2=0
   Sx=-HA=0
   Nx=VA−ql=ql/2−ql=−ql/2
   これは、部材AB、BCと同じように、部材の左から右に座標軸xをとった場合です。
   しかし、部材CDは、支点Dから節点Cの方向に座標軸xをとる方が計算が簡単です。
   この場合、支点Dからxの距離における、曲げモーメントMx、せん断力Sx は、
   支点Dで水平反力が存在しないから、
   Mx=0 、Sx=0 となり、
   軸方向力は断面に対し向かってくる力ですから、
   Nx=−VD=−ql/2 となり、同じ結果が得られます。
  以上より、M図、S図、N図は次のようになります。
(2)水平方向に集中荷重を受ける静定ラーメン
   静的な力のつり合い条件は、
   ΣX=0: −HA+P=0
   ΣY=0: VA+VD=0
   ΣMD=0: VAl+Ph=0
   ∴ HA=P
     VA=−Ph/l
     VD=Ph/l
支点反力が求まったので、次に部材ごとの断面力を求めます。
  (a)部材AB:
   支点Aから節点Bの方向に座標軸xをとり、断面の下側(支点A側)を考えると、
   Mx=HA・x=Px
   Sx=HA=P
   Nx=−VA=Ph/l
   したがって、節点BではMB=Ph となります。
   部材ABの中間には水平力は作用していないから、部材の全長にわたり、せん断力はS=Pです。
   支点Aでは下向きに反力が作用するから、軸方向力はN=Ph /lと正になります。
  (b)部材BC:
   節点Bから節点Cの方向に座標軸xをとり、断面の左側(節点B側)を考えると、
   節点Bからxの距離における曲げモーメントMx、せん断力Sx 、軸方向力 Nxは、
   Mx=HA・h+VA・x=Ph−Ph/lx
   Sx=VA=−Ph/l
   Nx=HA−P=P−P=0
   したがって、 MB=Ph  MC=0 です。
   MC=0であることは、支点Dに水平力が存在しないことからも分かります。
   部材BCに軸方向力が生じないのは、水平力Pが全て部材ABによって分担されるためです。
  (c)部材CD:
   支点Dから節点Cの方向に座標軸xをとり、断面の下側(支点D側)を考えると、
   支点Dからxの距離における曲げモーメントMx、せん断力Sxは、
   支点Dで水平反力が存在しないから、Mx=0、Sx=0となります。
   鉛直反力VD=Ph/l が作用するので、軸方向力Nx=−Ph/l が生じます。
  以上より、M図、S図、N図は次のようになります。

11.5 不静定ラーメンの解法

   ラーメンに外力が作用するとき、その部材内に生じる応力の算定には、
  応力法と変位法があります。
  ラーメンの形状が簡単な場合には前者によっても後者によっても大差はありませんが、
  複雑なラーメンとなると前者にはその実用性がなく、専ら後者によることになります。

   応力法には、カスティリアノの第2定理(最小仕事の原理)、
  単位荷重法、三連モーメントの定理などによる解法があります。
  これらは、曲げモーメントあるいは反力などを未知量とする解法です。
  これに対し、変位法には、たわみ角法、モーメント分配法、定点法があり、
  節点及び部材角を未知量とする解法です。

   応力法では、未知数の個数は構造物の不静定次数に等しい。
  変位法に属するたわみ角法では、
  未知数の個数は、一般に不静定次数よりも少なくなります。
  そのためたわみ角法は、高次の不静定ラーメンの応力算定に用いるとその威力を発揮します。
  各種解法によりひじ型ラーメンを解き、それぞれの解法の特質を理解しましょう。

11.5.1 応力法

T 単位荷重法による解法

  単位荷重法による解法は、不静定次数の数だけ不静定力を取り除き、
 静定基本系を設定します。
 次に、静定基本系に元の構造体系から不静定力を取り除いた箇所に、
 単位の不静定力を作用させます。
 不静定力として取り除いた点の変位、回転角を求め、
 実際の構造上の境界条件との整合を図れる方程式、
 いわゆる弾性方程式から不静定力を求めます。

【例題】
  支点A及びCで固定されているひじ形ラーメンの水平部材に等分布荷重qが作用しています。
  基準部材に対する各部材の剛比kはいずれも1として、単位荷重法により解きましょう。

【解答】
   不静定次数nの計算
    n=r+k−3q=(3+3)+3−3×2=3 3次不静定構造物
    r:支点の拘束度の総和(可動支点:1、回転支点:2、固定支点:3)
    k:節点の拘束度の総和(ヒンジ2、剛結3)
    q:部材総数

    支点Cの鉛直反力VC、水平反力HC及びモーメントMCを不静定力に選びます。
    すると図のような静定基本系を得ます。

   次に静定基本系に単位の不静定力
    X1=1(VC方向)、X2=1(HC 方向)、X3=1(MC 方向)が作用するときの載荷状態
    及びそのときの曲げモーメント図(M1図、M2図及びM3図)を示す。
   ここで、単位荷重法を用いて、点Cの鉛直変位V、水平変位H及び
   回転変位θCを求めます。
   静定基本系に4つの荷重q,X1,X2,X3が同時に作用したときの点Cの鉛直変位vは、
   重ね合わせの原理により、次のようになります。
   鉛直変位 V10+δ11+δ12+θ13

   ここで、10は、図1の荷重載荷状態での点Cの鉛直変位、
   δ11は、図2の荷重載荷状態での点Cの鉛直変位、
   δ12は、図3の荷重載荷状態での点Cの鉛直変位、
   θ13は、図4の荷重載荷状態での点Cの鉛直変位。
   同様に水平変位H及び回転変位θCは次式で表されます。
   水平変位 H20+δ21+δ22+θ23

   ここで、20は、図1の荷重載荷状態での点Cの水平変位、
   δ21は、図2の荷重載荷状態での点Cの水平変位、
   δ22は、図3の荷重載荷状態での点Cの水平変位、
   θ23は、図4の荷重載荷状態での点Cの水平変位。
   回転変位 θC30+δ31+δ32+θ33

   ここで、30は、図1の荷重載荷状態での点Cの回転変位、
   δ31は、図2の荷重載荷状態での点Cの回転変位、
   δ32は、図3の荷重載荷状態での点Cの回転変位、
   θ33は、図4の荷重載荷状態での点Cの回転変位。
   剛比kが1ということは、(I1/h)/(I2/l)=I1l/I2 h=1 が成立し、
   1/I2=h/lI1 の関係を次式に代入し、I1で整理します。
   実際、点Cは固定端ですから、鉛直変位V、水平変位H及び
   回転変位θCは0でなければなりません。
   したがって、上式より次の弾性方程式が得られます。
   X1,X2,X3に関する3元連立1次方程式を解けば、
   残りの支点反力及び断面力を求めることができます。
   式を整理すると、次の弾性方程式が得られます。
    32X1+12hX2-36X3=15ql2
    6lX1+ 4hX2- 6X3= 3ql2
    9lX1+ 3hX2-12X3= 4ql2
   となり、X1,X2,X3について解くと、
   X1=9ql/16   X2=ql2/16h    X3=5ql2/48  となります。

U カスティリアの第2定理(最小仕事の原理)による解法

 δi=∂U/∂Pi  は、カスティリアノの第2定理と呼んでいます。
 つまり、線形構造物に対しては、
 任意荷重Piに関するひずみエネルギーUの偏微分係数は、対応する変位δiに等しい。
 カスティリアノの第2定理は、
 構造物の変形量を求めるのに応用されます。
 不静定構造物のひずみエネルギーUを、
 変位が拘束される不動点(変位=0)に作用する不静定力の関数で表し、
 ひずみエネルギーUを不静定力で偏微分した値は0になります。
 これが最小仕事の原理であり、
 カスティリアノの第2定理を構造物の不動点に応用した特別の場合です。
 この解法原理を用いて、例題のラーメンに適用してみましょう。

【例題】
  支点A及びCで固定されているひじ形ラーメンの水平部材に等分布荷重qが作用しています。
  基準部材に対する各部材の剛比kはいずれも1として、
  カスティリアノの第2定理(最小仕事の原理)により解きましょう。

【解答】
   不静定次数nの計算
    n=r+k−3q
     r:支点の拘束度の総和(可動支点:1、回転支点:2、固定支点:3)
     k:節点の拘束度の総和(ヒンジ2、剛結3)
     q:部材総数
     n=r+k−3q=(3+3)+3−3×2=3
    このラーメンは3次不静定構造物ですから、
    鉛直反力VAと水平反力HA及び曲げモーメントMAを不静定力に選びます。

    柱ABとはりBCの曲げモーメントM1,M2は次のようになります。
    柱AB :M1=MA−HA・x
    はりBC:M2=VA・x−qx2/2+MA−HA・h

V 三連モーメントの定理による解法

 三連モーメントの定理は、モーメントを未知数にとった
 不静定ばりの解法であり、応力法の一つです。
 互いに隣り合う三つの支点に働く曲げモーメントMA,MB,MCを関連づけ、
 一般式は次のように表されます。

【例題】
  支点A及びCで固定されているひじ形ラーメンの水平部材に等分布荷重qが作用しています。
  基準部材に対する各部材の剛比kはいずれも1として、
  三連モーメントの定理により解きましょう。

【解答】
   点A、Cは固定端ですので、
   A点の下側にIAA´=∞のはりlAA´
   また、C点の右側にはICC´=∞のはりlCC´があるものとして、
   三連モーメントの定理を適用します。

11.5.2 変位法

W たわみ角法による解法

 【解説】
  ラーメンの変形を考える上で重要なポイントは、
  はりと柱の接合状態です。
  はりと柱は剛節と呼ばれる接合がなされています。

  剛節とは部材が節点で、
  ガセットという板に斜材等の部材を複数のボルトで剛に連結してあるものです。
  1つの節点に集まる部材の回転角はすべて同じで、
  部材相互のなす角度は、変形前と変形後で変化しないで維持されます。
  今、図のような剛節構造物のA点に、
  外力Pが水平方向に作用しています。
  剛節構造物は各節点で剛結されています。
  そのため、力が伝達され外力Pの作用により、
  全ての部材に対して何らかの変形が生じます。
  今、つり合い状態にある剛節構造物から
  1つの直線部材BCを取り出してみます。
  この場合、部材BCは、節点Bの右側で極めて接近して、
  また、同様に節点Cの左側においても極めて接近したところで仮想的に切断し、
  取り出すものとします。
  取り出した1つの構造部材B´C´を示す。
  図から変形後の部材B´C´は、
  変形前の部材BCに対して角Rだけ回転しています。
  部材BCの相対変位を凵A部材長さを1とすれば、
  R=冤を部材回転角といいます。

  次に変形後の節点B´,C´において、
  部材のたわみ曲線に引いた接線と
  線分B´C´のなす角τB、τCをそれぞれ接線回転角といいます。

  また、これらの接線が変形前の部材軸線BCとのなす角θB 、θC
  節点回転角あるいは、たわみ角といいます。
  たわみ角θと接線回転角τ、部材回転角Rとの間には、

  θB=τB+R   θC=τC+R  が成立します。

  断面には、外力Pの作用の影響により材端力として
  材端モーメント、材端せん断力、材端軸方向力
  (はり理論においては曲げモーメント、せん断力、軸方向力)が生じます。
  剛節構造物は、一般に各節点において複数の部材が接合されているため、
  はり理論の曲げモーメントとは別の考え方を導入します。

  材端力(材端モーメント、材端せん断力、材端軸方向力)とは節点に作用する外力ではなく、
  外力Pの作用による影響で部材に生じる力(部材の内力)で、
  はり理論における断面力に相当するものです。
  当然、材端力は外力が原因として生まれるものです。

  材端モーメントの符号は、時計回りのモーメントのときに正と定めます。

  それでは取り出した部材B´C´には、
  どのような変形が生じているでしょうか。
  剛節されている部材の剛度(I/l,I:断面2次モーメント,l:部材長さ)により、
  変形は変わります。
  例えば、柱部材がはり部材に比べ著しく剛度が高ければ、
  はり部材のたわみ角は、固定端ばりと同様たわみ角は0に近づきます。

  一方、柱部材の剛度がはり部材より著しく小さい場合には、
  はりのたわみ角は、単純ばりの可動支点のようなたわみ角が生じます。
  このように、剛節構造物の接合部分の変形は、柱とはりの相対的な剛度のバランスによって、
  固定端に近いか、回転支点に近いかが決まります。
[たわみ角法の考え方及び基本式の誘導(1)]

  たわみ角法は、はりと柱の両端部のたわみ角から、
  両端部に発生する曲げモーメントを求める計算法です。
  部材BCの変形を求めるために、
  両端が回転支点である単純ばりと仮定し、
  外力としてモーメント荷重MA,MBを時計回りに両端に作用させます。
  その際の両端のたわみ角は、モールの定理よりθA、θBを算出すると、

モールの定理
  曲げモーメント図を曲げ剛性(EI)で割った図形を分布荷重(弾性荷重)と考え、
  この荷重によるせん断力、曲げモーメントがそれぞれたわみ角、たわみに相当する。



  その際、剛節構造物は、接合部に複数の部材が集結していることから、
  はり理論のような正の曲げ(はりの下側引張り)、
  負の曲げ(はりの上側引張り)の符号設定をすることは困難です。
  そのため時計回りの方向を常に正と設定します。
  先の、
  例えば、今、1つの直線部材ABを取り出し、部材ABを単純ばりと考えます。
  その単純ばりの中央に集中荷重Pを載荷します。
  そのとき部材両端のたわみ角は、左端(θA)が、
  +Pl/16EK(時計回り)、右端(θB)が−Pl/16EK(反時計回り)となります。
  部材ABは、両端が回転支点である単純ばりと仮定しているため、
  AB両端には曲げモーメントは生じません。

  実際、部材ABは、ラーメン構造として剛節されているため、
  集中荷重Pが作用した場合に、
  取り出した部材ABの両端には、断面力としての材端力が生じています。
  今、外力として作用させたモーメント荷重MA 、MB
  集中荷重Pが作用したときに両端に生じる内力として考えます。
  そうすると、集中荷重Pの作用により部材ABの両端に生じる内力の関係として整理できます。
  MA, MB式は、単純ばりの両端A,Bにモーメント荷重としてMA 、MB
  作用させた場合のたわみ角との関係式ですが、
  見方を変えて集中荷重Pが作用した際に生じる内力と考えます。
  しかし、ABは単純ばりと考えているため、
  集中荷重Pによって回転支点A,Bでは、たわみ角が生じますが、
  モーメントMA 、MBは生じません。
  この条件を満足するように、上式MA,MBを変形すると、
  この時点での MA 、MBは、外力ではなく、集中荷重Pによって生じる内力であると考えます。
  上式MA,MBは、θAが、+Pl/16EK、θBが−Pl/16EKの場合、
  MA, MBの値は0となり、材端モーメントは生じていない。
  上式MA,MBを変形すると、
  ここで、上式においてθA、θBの値が0の場合、
  つまり、両端固定ばりの曲げモーメントを示しています。
  A点においては、反時計回りに材端モーメントPl/8、
  B点においては、時計回りに材端モーメントPl/8が生じます。
  ここで、上式においてθA、θBの値が0の場合、
  つまり、両端固定ばりの曲げモーメントを示しています。
  A点においては、反時計回りに材端モーメントPl/8、
  B点においては、時計回りに材端モーメントPl/8が生じます。
  ここで、CAB、CBAは、たわみ角の荷重項と呼ばれるもので、
  θAB=0 
  つまり、両端固定の曲げモーメントに等しい。
  また、部材の右端が左端に比べてδだけ低い位置にある場合には、
  見かけ上、θA=δ/l、θB=δ/lであっても、
  材端モーメントMA 、MBには影響しないため、
  R=δ/l(部材回転角)として、上式に組み込むと、
  さらに、任意に選んだ断面二次モーメントIC及び
  部材長lCによって基準剛度KC=lC/lCを定義すると、
   k=K/KCで与えられるkを剛比という。
  Kは、剛度(I/l)。
  ここで、
  たわみ角の基礎公式を用いて不静定ラーメンを解く場合には、
  モーメントのつり合い条件とせん断力のつり合い条件を考慮して、
  未知量φ及びψを決定し、支店反力及び断面力を決定します。
[たわみ角法の基本式の誘導(2)]

たわみ曲線の微分方程式 d2y/dx2=−M/EI から誘導します。
  支点Aと荷重点Cの間の曲げモーメントMxは、
  Mx=MA+RAx となります。
  したがって、たわみ曲線の微分方程式は、
  EId2y/dx2=−Mx=-MA−RAx
  1回積分すると、
  EIdy/dx=-MA x−RAx2/2+C1 となり、x=0のときdy/dx=θA ですから、
  C1=EIθA
  したがって、EIdy/dx=-MAx−RAx2/2+EIθA
  さらに積分すれば、
  EIy=-MAx2/2−RAx3/6+EIθAx+C2 となり、
  x=0のときy=0 ですから、C2=0
  したがって、EIy=-MAx2/2−RAx3/6+EIθAx
  AC間のたわみ曲線とCB間のたわみ曲線のC点において、
  はりは連続しているため、たわみyとたわみ角dy/dxが等しいことに着目し、
  x=aのときyC1とすると、
  EIyC1=-MAa2/2−RAa3/6+EIθAa
  また、x=aのとき dy/dx=θC1とすると、
  EIθC1=-MAa−RAa2/2+EIθA

  次に、BC間をBの方よりxをとり、曲げモーメントMxを求めると、
  Mx=-MB+RBxとなります。
  したがって、たわみ曲線の微分方程式は、
  EId2y/dx2=−Mx=MB−RBx
  1回積分すると、
  EIdy/dx=MBx−RBx2/2+C1 となり、
  x=0のときdy/dx=-θB ですから、
  C1=−EIθB
  したがって、EIdy/dx=MBx−RBx2/2−EIθB

  さらに積分すれば、
  EIy=MBx2/2−RBx3/6−EIθBx+C2 となり、
  x=0のときy=0 ですから、
  C2=0
  したがって、EIy=MBx2/2−RBx3/6−EIθBx
  x=bのときyC2 とすると、
  EIyC2=MBb2/2−RBb3/6−EIθBb
  また、x=bのとき dy/dx=θC2 とすると、
  EIθC2=MB b−RBb2/2−EIθB
  たわみ曲線のC点においては、たわみyとたわみ角dy/dxが等しいことから、
  EIyC1=EIyC2 より、
  -MAa2/2−RAa3/6+EIθAa=MBb2/2−RBb3/6−EIθBb
  EIθC1=−EIθC2 より、
  -MAa−RAa2/2+EIθA=−(MBb−RBb2/2−EIθB)

  ここで、はりABの支点反力RA、RBを求めます。
  RA+RB=P
  B点をモーメントの中心とすると、
  ΣMB: RAl−Pb+MA+MB=0 より、
  RA=1/l(Pb−MA−MB)
  RB=1/l(Pa+MA+MB)
  RA、RB
  -MAa2/2−RAa3/6+EIθAa=MBb2/2−RBb3/6−EIθBb に代入し、整理すると、
  MA(a3−3a2l+b3)+MB(a3−3b2l+b3)=3l2(2EI/l)(−θBb−θAa)+P(a3b−b3a)

  また、-MAa−RAa2/2+EIθA=−(MBb−RBb2/2−EIθB) に、RA、RBを代入し、整理すると、
  MA(a2−2al−b2)+MB(a2+2bl−b2)=−l2(2EI/l)(−θB+θA)+Pabl
  これら2式より MA 、MB を求めれば、
  MA=2EK(2θA+θB)−(pab2)/l2
  MB=2EK(2θB+θA)+(pa2b)/l2   ここで、K=I/l

  今、B点がdだけ下方に移動した場合を考えます。
  部材回転角R=d/lとすると、MA 、MBは、
  次のようにたわみ角法の一般式が得られます。
CAB 、CBAは、たわみ角の荷重項と呼ばれるもので,θA=θB=0 つまり、両端固定の曲げモーメントに等しい。
[節点方程式]

  ラーメンの節点Aに集まる部材をA1,A2,…,Anとします。
  節点Aの近傍で各部材を仮想切断すると、
  その切断面には、図(b)のように材端モーメントMai(i=1,2,…,n)が生じています。
  すると、節点A側に残された各部材の断片には図(b)の材端モーメントとつり合いを保つため、
  逆向きのモーメントが図(c)のように生じています。
  切断面に生じる材端モーメントは内力であり、
  節点Aでつり合い状態にあるため、内力の総和は0になります。

  また、節点にモーメント荷重が作用している場合は、
  内力の総和とこのモーメント荷重がつり合うことになります。
  したがって、節点Aのモーメントのつり合い条件式は、次のようになります。
  また、節点Aに外力としてモーメント荷重Taが時計方向に作用する場合は、
  各部材端から節点Aに生じるモーメントの和は、
  時計方向に外力として作用する荷重とつり合わなければならないから、節点方程式は、
  節点方程式は、節点の回転角に対して必要なモーメントのつり合い条件式です。
  例えば、図のようなラーメン構造において、
  点A,B,Cで節点方程式が得られます。
  なお、点D,Eでは、回転が拘束されるため、曲げモーメントが生じます。
  このように回転が拘束されている節点では、
  節点方程式を立てることはできません。
[層方程式]

  次にせん断力のつり合い条件式を求めましょう。
  図に示すようなラーメン構造物を考えます。
  断面力(内力)は、仮想切断した左右の断面に、
  同じ大きさで向きが逆に生じています。
  断面力は部材の変形を引き起こす原因です。
  部材力の正負を記載する場合、部材の外側が上部になるようにして、
  はりに置き換えて考えると分かりやすい。
  仮想切断面の断面力の向きは、正方向に仮定しています。
  今、ラーメンを水平断面t-tによって
  上下2つの部分に仮想切断します。
  断面t-tより上側部分の水平方向の力のつり合いを考えます。
  切断面t-tは節点Aの近傍を通っています。
  節点Aの切断面には、図のように材端モーメントMAB
  せん断力SABが生じています。
  その他の節点の切断面においても同様です。
  切断面t-tよりも上側で構造物に作用する水平方向の外力(右向きを正)の合力をStとすれば、
  この式を層方程式という。
  nは切断面t-tによって切断された柱の数であり、図ではn=3です。
  柱A´B´の両端には、断面力として材端モーメントMAB、MBA及び
  せん断力SAB、SBAが生じており、
  これらの内力と外力P3とで柱ABはつり合っています。
  柱ABの点Bでモーメントのつり合い条件式をたてると、
  ΣMB:MAB+MBA+SAB・ha+P3・a=0
  ∴ SAB=−1/ha (MAB+MBA)−(P3・a)/ha
  P3・aは柱ABに作用する点Bのモーメントですから、一般にMBA0で表すと、
  荷重が全て鉛直方向に作用する場合や
  構造物と荷重が左右対称である場合は、
  右辺は0となるため、層方程式は、

【例題】
  支点A及びCで固定されているひじ形ラーメンの水平部材に等分布荷重qが作用しています。
  基準部材に対する各部材の剛比kはいずれも1として、
  たわみ角法により解きましょう。

【解答】
   節点Bは移動しないためψ=0であり、
  点A及びCは固定端であるためφA=φC=0となります。
  未知量は節点Bの節点回転角φBとなります。
  部材BA及びBCに対してたわみ角の基礎公式より材端モーメントの式は次のようになります。
     MBA=kAB(2φBA+ψAB)=2φB
     MBC=kBC(2φBC+ψBC)+CBC=2φB+CBC
  ここにCBCは、たわみ角の荷重項と呼ばれるもので、
  両端固定のはりBCに等分布荷重が載荷されている場合の
  B点での曲げモーメントに等しい。
  CBC=−ql2/12
  したがって、節点Bの節点方程式は、
  MBA+MBC=0 となり、
  材端モーメントの式を代入すると、
  4φB+CBC=0  ∴φB=ql2/48 となります。
  この値を材端モーメントの式MBA、MBCに代入すると、
  MBA=2φB=2×ql2/48=ql2/24
  MBC=2φB+CBC=ql2/24−ql2/12=−ql2/24
  さらに点A、Cの材端モーメントは、
  MAB=kAB(2φAB+ψAB)=φB=ql2/48
  MCB=kBC(2φCB+ψBC)+CCB=φB+CCB=ql2/48+ql2/12 =5ql2/48
  材端モーメントとはり理論の曲げモーメントの正負の規約が異なるので注意を要します。
  材端モーメントは、時計回りが正となり、
  曲げモーメントは、下側引張になるような曲げが正となります。
  そのため、節点A、Bの曲げモーメントをMA、MBとすると、
  材端モーメントとの間には次の関係があります。
  MA=MAB   MB=-MBA
  以上の計算結果より、曲げモーメント図を描きます。
  柱AB:
  MA=1/48ql2 (=MAB)   MB=−1/24ql2 (=−MBA
  はりBC:
  MB=−ql2/24  (=MBC)   MC=-5/48ql2 (=−MCB
せん断力の計算
  つり合い系T:
  切断面(節点Bの極近傍)t-tの上側
  t-t断面の上側にある全ての外力(右向きを正)
  Stは、せん断力SBAとつり合う。
  つり合い系U:
  柱B´A´
  SBAを求めるために、柱B´A´のつり合い条件式を用います。(切断面における作用・反作用の関係)
  柱B´A´の両端には、断面力としてMBA ,MAB,BA ,ABが生じています。
  (軸方向力も生じていますが、モーメントのつり合いを考える際には寄与しないので記載していません。)
  A´点でモーメントのつり合いを考えると、
  ΣA´:MBA+MAB+hBA=0 となり、
  BA=-1/h(MBA+MAB)=−1/h(ql2/24+ql2/48
  =−ql2/16h となり、右向きに仮定したが左向きに生じます。
  切断面における作用反作用の関係より、
  SBA=ql2/16h(右向き) となります。
  また、柱B´A´のつり合い条件式ΣH=0より、
  柱の下端A´の水平せん断力ABは、ql2/16hとなり、右向きに生じます。
   つり合い系V:
  切断面(節点Aの極近傍)s-sの下側
  ABとSABは作用・反作用の関係からSABは左向きにql2/16hとなります。
  したがって、点Aの水平反力(外力)HA=ql2/16h は、右向きとなります。
  同様にSCBを求めるため、はりB´C´のつり合い条件式を用います(切断面における作用・反作用の関係)。
  はりB´C´の両端には、断面力としてMBC,MCB,BC,CBが生じています。
  (軸方向力も生じているがモーメントのつり合いを考える際には寄与しないので記載していません。)
  B´点でモーメント(時計回りを正)のつり合いを考えると、
  ΣB´:MBC+MCB+lCB+1/2ql2=0 となり、
  CB=-1/l(MBC+MCB+ql2/2=−1/l(-ql2/24+5ql2/48+ql2/2)
  =−9ql/16 となり、仮定した方向は逆の上向きとなります。
  また、CBとSCBは作用・反作用の関係から、
  SCBは下向きに9/16qlとなります。
  したがって、点Cの鉛直反力(外力)VCは、上向きに9ql/16となります。

  次に、SBCを求めます。
  C´点でモーメント(時計回りを正)のつり合いを考えると、
  ΣC´:MBC+MCB+lSBC−ql2/2=0 となり、
  BC=-1/l(MBC+MCB-ql2/2)=−1/l(-ql2/24+5ql2/48-ql2/2)
  =7ql/16 となり、仮定した方向どおり上向きとなります。
  また、BCとSBCは作用・反作用の関係から、
  SCBは下向きに7ql/16となります。
  したがって、点Aの鉛直反力(外力)VAは、上向きに7ql/16となります。
軸方向力の計算
  部材ABの軸方向力NAB=VA=7ql/16 (圧縮力)
  部材BCの軸方向力NCB=HA=HC=ql2/16h (圧縮力)

  以上の計算結果より、ラーメンのM図、S図、N図を描くと次のようになります。

X モーメント分配法による解法

  節点を固定端に置き換えてモーメントと求め、
  その置き換えた固定端に発生したモーメントを逐次近似する数値解析法で、
  実用上便利な方法です。
  連続ばり、不静定ラーメンの節点のモーメントを求めることができます。
[モーメント分配法の適用手順]
  
  @ 連続ばりの各スパンの支点を固定と仮定し、
   与えられた荷重に対する固定端モーメントを求めます。
  A 各スパンの支点を固定としたことから、
   各支点の左右におけるモーメントには違いが生じます。
   すなわち「不つり合いモーメント」が生じます。
  B 実際の連続ばり支点には、不つり合いの状態にはなっていないため、
   各支点に生じている不つり合いモーメントをなくすため、
   各支点にこの不つり合いモーメントと同じ大きさで逆向きにモーメントを作用させます。
  C ある支点に作用させた逆向きの不つり合いモーメントが、
   支点の左右にどのように分配されるか(分配モーメント)を調べます。
   さらに分配されたモーメントが隣の支点にどのような影響(到達モーメント)を及ぼすか調べます。
  D すべての支点で不つり合いモーメントが解消されるまで上記の操作を繰り返す。
 【解説1】
  図に示すような任意の荷重を受ける3スパン連続ばりの
  中間支点B及びCのたわみ角が0であるためには、
  支点B及びCに作用する外力モーメントTB及びTCの大きさは、
  TB=CBA+CBC
  TC=CCB+CCD
  となることを示す。
  ここで、CBA 、CBC、CCB及びCCDは、
  たわみ角法における荷重項と呼ばれるもので、節点回転角θB、θCは0、
  つまり、両端固定端の曲げモーメントです。ただし、支点沈下はないものとします。
  節点B及びCの節点方程式は、
  MBA+MBC=TB
  MCB+MCD=TC

  部材BA及び部材BCに対して材端モーメントの式は、たわみ角の公式より、
  MBA=k1(2φB+φA+ψAB)+CBA
  MBC=k2(2φB+φC+ψBC)+CBC であり、
  支点B,Cは沈下がないため、ψAB=ψBC=0となります。
  MBA+MBC=TB に代入し整理すると、
  2(k1+k2B+k2φC=TB−CBA−CBC

  同様に、部材CB及び部材CDに対して材端モーメントの式は、
  MCB=k1(2φC+φB+ψBC)+CCB
  MCD=k2(2φC+φD+ψCD)+CCD であり、
  支点C,Dの沈下はないため、ψBC=ψCD=0となります。
  MCB+MCD=TC に代入し整理すると、
  k2φB+2(k2+k3)φC=TC−CCB−CCD
  また、中間支点B及びCのたわみ角を0とするためには、
  φB=φC=0 を
  2(k1+k2)φB+k2φC=TB−CBA−CBC
  k2φB+2(k2+k3)φC=TC−CCB−CCD
  に代入すると、
  TB−CBA−CBC=0 ⇒ TB=CBA+CBC
  TC−CCB−CCD=0 ⇒ TC=CCB+CCD   となり、たわみ角が0になるようにするには、
  支点B及びCに作用させる外力モーメントTB及びTCを求めることができます。

【例題】
  支点A及びCで固定されているひじ形ラーメンの水平部材に等分布荷重qが作用しています。
  基準部材に対する各部材の剛比kはいずれも1として、
  モーメント分配法により解きましょう。

【解答】
  @ ひじ形ラーメンは、節点Bが不動となるため、
   図のはりと力学的に同等です。
   節点Bを固定と仮定し、与えられた荷重に対する固定端モーメントを求めます。
   BCに等分布荷重qが作用していることから、
   点B,Cの固定端モーメント TB,TCはそれぞれ、
   TB=-ql2/12(反時計回り) TC=ql2/12(時計回り)
  A 支点Bを固定としたことから、支点の左右にモーメントの違いが生じます。
   すなわち「不つり合いモーメント」が生じます。
   支点Bに生じている不つり合いモーメントをなくすため、
   支点Bにこの不つり合いモーメントを逆向きに作用させます。
   するとBA、BCには、それぞれの剛比の割合でモーメントが分配されます。
   また、支点A、Cには到達モーメントとしてそれぞれの1/2が伝達されます。

   点Bの不つり合いモーメント:−TB=ql2/12
   分配モーメント MBA=1/(1+1)×(−TB)=1/2×(ql2/12)=ql2/24
           MBC=1/(1+1)×(−TB)=1/2×(ql2/12)=ql2/24
  以上の計算過程から、図(A),(B)の曲げモーメント図を重ね合わせたものが曲げモーメント図となります。

Y 定点法による解法

  定点法は、連続ばりの解法に適用されます。
  その解法は、三連モーメントの定理における隣り合う支点の曲げモーメントの比、
  いわゆる定点比というものを導入し、定点比の漸化式を誘導します。
  その漸化式を用いて、順番に曲げモーメントを求める手法です。
  詳しい説明は、第8章 構造解析法 8.4 応力法による解法を参照してほしい。
  (1)定点
     A端で完全に固定されたはりの
     B端にモーメント荷重MBを作用させた場合の曲げモーメント図を示す。
     この場合、曲げモーメントが0になる地点は、
     A端よりl/3の距離にあり、MBの大きさには関係なく決まった点となります。
     このような点を定点という。
     定点は、点Aにモーメント荷重が作用する場合と点Bに作用する場合を考えると、
     一部材に2個存在します。
  (2)定点比
      図に示すように絶対値の大きい方の支点のモーメントを小さい方の支点のモーメントで割り、
     負号をつけたものを定点比という。
     定点は、各スパンに左右1個ずつあるから、
     定点比も各スパンに2個存在します。

     左定点比:μi=−Mi/Mi-1   右定点比:νi=−Mi-1/Mi
  (3)定点比の決定
     [非載荷スパンの場合]
     連続ばりから隣接する2つの非載荷スパンを取り出し、
     三連モーメントの定理を適用すると、
     これらの式は、定点比を決定するための漸化式であり、
     左定点比μ1が分かれば、以後の定点比を求めることができます。
     同様にして、右定点比νi+1が分かれば、以後の定点比が順次確定します。

     [載荷スパンの場合]
     図のような支点i-1,i間に荷重が載荷されている連続ばりを考えます。
     TのスパンとUのスパンに3連モーメントの定理を適用します。

【例題】
  支点A及びCで固定されているひじ形ラーメンの水平部材に等分布荷重qが作用しています。
  基準部材に対する各部材の剛比kはいずれも1として、
  定点法により解きましょう。

【解答】
  節点Bが不動点となるため、図の連続ばりと力学的に同等です。

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